熊楠の祟りが出そう?

顕彰館に隣接する、かつて熊楠が暮らしていたという熊楠邸を観覧する。顕彰館のオープンに伴いこちらもリニューアルされ、かつての面影をとどめつつきっちり耐震補強が施された模様、土壁も真新しい。それでも中をのぞいてみると熊楠が暮らしていた当時のままのような調度品が生なましく展示されている。中でも超貴重な資料がぎっしり詰まっていたという倉からは、その息吹が臭い立つようだ。
と、まぁそこまでは良かった。
建物の周りはちょっとした(といっても結構広い)庭となっていて、ここで晩年足を患い山歩きの困難になった熊楠が「小さな熊野の森を再現した」といわれるこの庭の木々の中を散歩していたらしい。が、それにしては木が寂しい。設置されたベンチには木漏れ日どころか、直射日光が降り注いでいる。というのも、防犯用のセンサーに干渉する部分にある木々はキレイに排除されているらしいのだ。おかげで庭の大部分の木が根こそぎ無くなっている。んなバカな!?ですよね。他でもなく森を守ろうとした熊楠の庭である。その資産を守る為のセキュリティの為に、あろうことか森を切った??いったい何を守りたいんですか〜??。とまぁ、世の中の矛盾の縮図を見たような、なんとも後味の悪い気分で館を後にしたのであった。