さよなら、チッちゃん

awatomo2007-08-06

今朝、出勤に向かったはずのYuが家の川向こうの道に車を止めて、こっちにむかって何か叫んでいる。
「チッちゃんひかれてる!」
耳を疑ったが、急いで駆けつけてみると、変わり果てたチッちゃんが道路脇に横たえていた。ウチのほぼ真向かいの川沿いの道、ウチに帰る途中だったのだろうか?出勤途中で急ぐYuに代わり、チィの亡骸を埋葬するため穴を掘っていると、いろいろなことが思い出されて辛かった…。
僕らがこの家に越してまもなく、ひょっこり現れた野良猫。でも野良猫にしては人に慣れていた。人に飼われていたことがあるのかもしれない。甘えるだけでなく、妙に聞き分けのいい、不思議な猫だった。狩りが上手で、トカゲや小鳥などの獲物を家の中に持ち込んでは困らせてくれたが、この特技があったからこそ独りでも生き延びてこれたのだろう。チィの前脚は、ウチのぐうたら猫どもと違って、小さな体に見合わず太くたくましかった。
頭を撫でてやると、とても嬉しそうだった。猫は頭を撫でると喜ぶものだが、チィの喜び方はちょっと尋常ではなかった。こちらが撫でる力よりもずっと強い力で頭をグイグイ押し返してくる。両手を交互にグッパーしながら、これ以上出ないほどの大きな音でゴロゴロ喉を鳴らし、そして、眉間にしわを寄せて目をつむり、ひげをめいっぱい前に突きだして絞り出すように力いっぱいニャーと鳴いた。喜び過ぎてよだれまで垂らして。
いったい今までどんな孤独を味わってきたのだろう。そんなことを考えさせられるような鳴き方だった。
以来、人と枕を並べて寝るようになり、はじめは警戒していたウチのトラ・クロともようやく3匹並んで食事をしている姿をみかけるようになった、そんな矢先だった…。
運転していると、よく車にひかれて横たわる動物を見かける。たかが野良猫?たかが野良犬?たかが野良狸??
それぞれ個性を持ち、それぞれの生活を営んできた命たちだ。
自分を含め、ハンドルを握る者は、自覚を持って運転しなくてはならない。
心よりご冥福をお祈りします。