トラキチとトモキチ(夏の終わりに)

awatomo2008-09-03

その昔、僕が大阪のyUのマンションに初めて訪れた時、そこにはトラキチという雄猫が、まるでその家の主のように陣取っていた。この茶色い猫は、心斎橋の引っかけ橋で子猫の時に拾われ、一人暮らしのyUのパートナーを努めていたらしい。
新参者の僕は、いつしか”トラキチ”の子分”トモキチ”と呼ばれる様になっていた。
以来、あわ屋と名乗る妙な二人の気まぐれな人生に振り回されつつ、巡り巡ってとうとうこんな片田舎までやってきたのであった。なんと波瀾万丈な人生いや猫生だろう。苦労かけたね・・・。
そんな彼が、先日息を引き取った。
エイズ白血病の両方が陽性で、結局どちらが発病したのかは定かではないが、自分でエサを食べなくなってからは日に日に痩せ細ってしまい、その日が近いことは覚悟していた。もっと生きて欲しい気もするが、早く楽にしてあげたい気もするジレンマの中、突然その日はやって来た。
心地のよい初秋の風に、一面の稲穂が揺れる畦端で日向ぼっこをしたのが、yUとトラキチとトモキチが一緒に過ごした最後の時間となった。
最後は、二人の見守る前で旅立ってくれたことが、今はとにかくありがたい。
埋葬の時、最近ようやく咲いた遅咲きのひまわりの花を一輪、一緒に入れてあげた。これからは、僕にとってひまわりは特別な花になりそうだ。
ありがとうトラキチ。バイバイ。