その1

ジャイアントトらやんと子供都市計画研究所について
昨年10月にオープンしたばかりの新しい美術館、金沢21世紀美術館では現代美術家ヤノベケンジ氏の半年間に渡る滞在制作が行われていた。「子供都市計画」と題されたこの滞在制作は、ヤノベ氏本人のみならず若いアーティストや学生さらに現地で飛び入り参加した有志など、多くのスタッフからなる「子供都市計画研究所」を名乗り、彼らの手によって21個の子供のための「パビリオン」と呼ばれる作品が日夜制作されていた。「パビリオン」とは、映画館や鉄道や市役所乗り物などなど、様々な体験型インスタレーションなのだが、どれも子供サイズ、子供限定なのであった。「パビリオン」という呼び名から察する通り、これは万博を意識したものである。つまりこれはいわば子供の為の万博会場を生み出そうという計画といっていいだろう。最終的にはこの21個の「パビリオン」で美術館本体を包囲して、あたかも万博会場にしてしまおう、というのが目標である。そんな「パビリオン」の中でもイメージリーダーというか中心的存在というか、70年の大阪万博でいうところの太陽の塔に相当する巨大なモニュメントとして計画されていたのが、「G.-T.R.Y.ジャイアントトらやん)」である。
で、実はなぜか僕もこの「ジャイアントトらやん」制作の中心メンバーの一人として、昨年末あたりからここ金沢21世紀美術館にて滞在活動を行っていたというわけです、はい。
この「ジャイアントトらやん」、当初の計画(というかヤノベさんの発言)によれば10数メートルあったが、実際に制作されるにあたって結局7メートル強に落ち着いた(これでも美術館の工房の天井を超えているんだが・・)。しかもこの「ジャイアントトらやん」はただ立っているだけでなく、子供の命令にのみ反応して歌ったり踊ったり火を噴いたり・・・という機能まで備わっているという。しかしそんなデカ物にもかかわらず、制作に向けて実際に動き始めたのは今年の1月後半あたりから。お披露目のイベントは3月19日からだったから2ヶ月程度で完成させようというのである。これが半端じゃない難行になるであろう事は、始める前から明らかだった。あまりのプレッシャーからか?僕は金沢入りした翌日から寝込んでしまう始末であった。

次回に続く・・・