Byrne+Enoの新作

awatomo2008-11-23

27年ぶりにDavid ByrneBrian Enoが共作したというアルバム「EVERYTHING THAT HAPPENS WILL HAPPEN TODAY」を聴いてみた。
David Byrneは僕にとってある意味音楽の旅先案内人みたいな人だ。彼は出すアルバム毎に全く違う世界観をもってくることが多い。その傾向はTALKING HEADS時代からあったけど、その頃はいちおうロックバンドというジャンルに収まっていた。だがソロではもはやロックという枠からはみ出し、コンテンポラリーアート的な実験音楽をやっていたかと思えば、シャル ウィ ダンス?なラテン音楽で出て来たり、テクノでクラブなノリノリ音楽で来たかと思えば、オペラ歌謡を高らかに歌っていたりする。その振り幅があまりに大きいので、聴くほうはしばらく置いてけぼりを食らうのである。だが、やがてその世界観を理解しようと興味を向けているうちに、自然と新しい音の世界に自分の耳を広げてくれているのだ。
で、本作である。このアルバムをByrne自身は「エレクトロニクス・フォーク・ゴスペル」だと語っているが、なるほど言い得て妙だ。
それにしても、最近どんどんアコースティックで音数を減らす傾向にあったByrneの曲調に慣れていたので、初めて聞いたときはちょっと耳障りなくらいの音数の多さに面食らった。まぁこのあたりエレクトロニクスの神様ENO様が楽曲を担当しているのだから、当然といえば当然か。しかし、それでいてフォークでありゴスペル、ついでにTALKING HEADS時代を彷彿とさせるByrneのキレたようなボーカル(若い!)が加わって、ミスマッチ的な面白さがある。いや、ミスマッチなのは、TALKING HEADSの再来的20世紀的な懐かしさと、一足飛びに21世紀的になった音世界とのミスマッチとも言えるかもしれない。あ、いま21世紀的という言葉を使ったが、はたして21世紀的って何なんだろう??
もしかしたら、その答えを確信犯的に散りばめているのが、本作の一番の見所なのかもしれない。
などと問答をしながら、しばらくこの新しいアルバムの音世界の中で遊んでみようと思うのであった。